小児眼科

疾患治療だけでなく、健全な視力の発達のために

人間は生まれてきてすぐの状態では、ほとんど明るさを見分けることができるぐらいです。その後実際に「目」を使うことによってだんだんと物を視る能力を発達させていきます。そしてだいたい8歳ぐらいまでには大人と同じ程度の視力になるといわれています。
時に、「見る」という訓練が十分でない場合、視力は発達していきません。これを「弱視」といいます。弱視の状態でそのまま成長し大人になってしまうと、その後治療しても十分に視力を得ることはできません。
そのため、弱視はできるだけ早い時期に発見してものを「見る」訓練をおこない視力を発達させることが大切になります。
子どもの目を診るということは、単にさまざまな目の疾患を治療するということだけではなく、健全な視力の発達のサポートをするということでもあるのです。
当院では子どもの目や視力の発達について専門的なチェックもおこなっています。何かお子さまの視力について心配がある方、一度チェックを受けておきたいという方はお気軽にご相談ください。

学校検診について

学校で受ける視力検査は370方式といって、視力を簡易的にAからDの4段階で評価するものです。そのため、お子さまのどこに問題があって視力がでていないか、背景に目の重大な病気が隠れていないかなどを判断することはできません。
学校の視力検査でA以外の結果がでた場合は、ぜひ眼科を受診して屈折異常の有無や背景に病気が隠れていないかなどを早めに確認するようにしてください。

近視

人間は近くのものを見るために、毛様体筋という眼球の中にある筋肉をつかって水晶体の厚さを分厚く調節しています。あまり近くのものを見続けると、この毛様体筋が緊張し続けて過緊張となり、ものがぼけて見えるようになります。この状態を仮性近視といいますが、仮性近視は睡眠を十分にとったり、目をやすめたりすることによって回復します。
しかし、こうした状態を何度も繰り返していると、視力が回復しなくなり、仮性近視から近視になってしまいます。
近視になってしまったら治療することは困難ですが、仮性近視のうちなら点眼薬や眼鏡による正しい治療と生活習慣の改善によって視力を戻すことも可能です。
とくに毛様体筋を使いすぎて疲労をおこさないようにするための生活習慣の改善は、視力回復のための重要なポイントです。
子どものうちは筋肉も柔軟で回復力も高いため、仮性近視のうちに適切な治療と指導をうけることが大切です。お子さんが物を見るときに、目を細めるようになった、顔を傾けるようになったなどの状態に気づいたら、お早めにご相談ください。

斜視

通常ものを見るときは、両方の目が同じ方向にむきます。ところが斜視の場合、片方の目は見るものの方向をむいているのに、もう片方の目が別の方向をむいてしまっているという状態がおこります。
視力が十分に発達していない6歳までに斜視があると、ものにむかっていない方の目の視力を十分に発達させることができず、弱視をおこすことがあるほか、両目を使って距離や奥行きなどを感受する立体視ができなくなるケースもあります。
乳幼児では、正常なのに外見的に斜視に見える場合もありますが、実際に斜視であるケースもありますので、心配がある場合は早めに眼科を受診することをおすすめします。
また、斜視は目の機能的な異常によっておこっていることが多いのですが、その他にも脳の疾患や全身疾患などに起因したものもありますので、成人の場合でも斜視の症状に気づいたらまずは眼科医を受診するようにしましょう。
斜視の治療はプリズム眼鏡などを使って、視力を矯正しながら目の位置の修正をおこないます。両目をできるだけ使うことによって、弱視になることを防ぎ、立体視の訓練にもなります。手術によって筋肉の位置を修正することもでき、場合によっては手術を選択することもあります。ただし時間がたつと、元に戻ってしまうケースもあります。
視力をできるだけ発達させるだけでなく、斜視の場合見た目のコンプレックスとなるケースもありますので、しっかりと治療を続けていくことをおすすめします。
小児の斜視・弱視治療が必要な場合は神奈川県立こども医療センターなどの専門施設を紹介することもあります。

弱視

視力は一般的に6歳ぐらいまでの間に発達して、しっかりとものを見ることができるようになります。何らかの原因でこの発達が十分でないと弱視がおこります。
弱視は見たものをきちんと脳に伝達できないので、眼鏡などで屈折を矯正しても正しく見ることができない状態です。
弱視のまま、視力の発達の時期を過ぎてしまうと、もう視力を回復することはできません。そのため、弱視は視力が発達する期間のできるだけ早いうちに治療を開始することが大切です。
一般的に弱視の治療は3歳ぐらいからはじめるのが理想的とされていますが、6、7歳ぐらいまでに開始すれば、十分に治療効果が得られることもわかっています。個人差もありますが8歳をすぎると、治療効果がほとんど得られないことが多いのです。お子さんが物を見るときに、目をすがめる、顔を片方に傾けるなどの癖に気づいたら、眼科医に相談し早めに治療を開始するようにしましょう。また3歳ぐらいになるとだいたいの目の検査が可能になりますので、異常がないようにみえても、一度眼科の検査を受けるようにしましょう。
なお、治療方法としては、弱視治療用の眼鏡による方法が一般的です。また片方の目だけに弱視がある場合は医療用のアイパッチで視力のある方の目をふさぎ、弱視の方の目の発達を促進する治療をおこなうこともあります。

はやり目

はやり目は、ウイルス性の目の感染症で、アデノウイルスなどが原因となっています。正しくは流行性角結膜炎といいますが感染力がとても強く、すぐに他人にうつってしまいますので、完治するまで登校、登園が禁止されています。
主な症状としては、充血、結膜が赤くなる、まぶたの裏側にぶつぶつができる、目のかゆみ、目やにがふえる、目がごろごろとして異物感があるなどです。

流行性角結膜炎と出席停止

はやり目(流行性角結膜炎)は学校保健法では第3種に分類され「完治するまで出席停止」との指定をうけています。出席再開には、医師による許可が必要で、具体的には医師に記入してもらった完治の書類を学校や保育園などに提出してはじめて登校再開となります。

当院のはやり目治療

アデノウイルスには有効な治療薬がまだありません。そのため、炎症などの症状をおさえる対症療法を中心に治療をおこないます。また細菌による感染症を併発しそうな場合には予防的に抗生物質を投与することもあります。
炎症が治ってきた段階で黒目の部分に小さな点のような濁りがでることがありますが、しっかりと治療を続けることによってこの濁りも消えていきます。この濁りの解消もふくめて完全に治るまで一般的には半月から1月ほどかかります。
炎症が消えたからといって治療をやめて放置してしまうと、視力に影響がでることもありますので注意が必要です。医師から完治といわれるまでは、しっかりと通院して治療を続けるようにしましょう。

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