ドライアイ

その疲れ目、ドライアイかも

はじめに疲れ眼、それはドライアイかもしれません。
眼が疲れやすい、あるいはなんとなく眼に不快感を感じるという人が増えています。
テレビやパソコンなどに囲まれて眼が酷使される現代では、疲れ眼や不快感があると仕事のみならず、日常生活でも大変不便に感じることでしょう。

こういった疲れ眼の原因で、最近注目されてきたのが眼の乾き、ドライアイです。
眼が疲れやすいのは、眼を使い過ぎたためばかりでなく、もしかしたらドライアイとういう病気の一つの症状かもしれません。

ドライアイとは

ドライアイとは文字通り目が乾いてしまう病気(状態)です。 しかし、よく勘違いされるのですが、必ずしも涙が出ないとか少ないという訳ではありません。

涙の量が多い少ないに関わらず、目の表面全体が涙でしっかりカバーされていない状態が「ドライアイ」です。涙の質の低下により、一部でも涙でカバーされていない場所(ドライスポット・ダークスポット)があれば、そこは乾いて荒れてしまいます。

涙が出てしょぼしょぼしているのに「ドライアイ」とはおかしいではないか!と時々言われていますが、おかしくないのです。

ドライアイ外来では涙の量や質の評価をするとともに目の表面、まぶたの裏や縁の状態を観察します。そしてそれぞれの問題に見合う治療を行います。 もちろん一番の目的は自覚症状の改善です。

ドライアイの可能性を自己判断してみましょう

ドライアイ・チェック項目

  • 眼が疲れやすい
  • めやにが出る
  • 眼がごろごろする
  • 重たい感じがする
  • 眼が乾いた感じがする
  • 何となく眼に不快感がある
  • 眼が痛い
  • 涙が出る
  • ものがかすんで見える
  • 眼がかゆい
  • 光を見るとまぶしい
  • 眼が赤い

5つ以上ならドライアイの可能性があります。

さらに10秒以上眼を開けていられない、まばたきの回数が多い(40回/分以上)なら、その可能性がさらに高いといえるでしょう。

ドライアイの原因

生活習慣病としてのドライアイ

ドライアイになる最初の原因は眼球表面の涙液の量が減ることですが、それには涙液の分泌の低下と、涙液の蒸発が多くなることの二つが影響しています。
その背景として、次のような要因があげられます。

空気の乾燥

空気の乾燥空気が乾燥していると、眼の表面から涙液が蒸発しやすくなります。
このためドライアイの人の多くは、秋から冬にかけての季節の変わりめに症状が強くなります。本来は湿度が高い夏場も、クーラーの利いた部屋にいると眼が乾きます。

瞬きが少ない

意識しなくても、ふつう3秒に1回ぐらい瞬きをしますが、なにかに集中していると、瞬きの回数が滅ります。
例えば読書で6秒に1回ぐらい、パソコン操作で十数秒に1回程度になります。
その結果、涙液の蒸発が進む反面、分泌は低下し、涙の膜が途切れてしまいます。
最近はパソコンや携帯電話などの普及により、VDT症候群※1と呼ばれる状態の人が増えています。

瞬きが不完全

瞬きの瞬間しっかりまぶたを閉じていない人がいます。
そのため、瞬きをしても眼球表面の下の方はいつも潤わないことになります。
眠っているとき薄目を聞いている人や、コンタクトレンズをしている人に多い傾向があります。

コンタクトレンズの装着

コンタクトレンズの装着コンタクトレンズが水をはじくために、眼が乾燥することがあります。また、角膜が覆われてその感度が鈍くなることや、瞬きが不完全になることで、涙の分泌が低下します。レンズの汚れや傷が涙の膜を不安定にしたり、結膜のムチン分泌を低下させることもあります。
以上のような、環境要因の影響力が強いドライアイは”眼の生活習慣病”といえますが、ドライアイの原因は、これら以外にもあります。

※1 VDT症候群:VDTとは、Visual Display Terminal画像表示端末、つまり、パソコンやテレビ、携帯電話などのことです。 これらの操作時は、画面を見ることに集中し、瞬きの回数が極端に減ったり視線を激しく移動するため、眼に大変負担となり、疲れ眼やドライアイを引き起こします。 また、頭痛やめまいが起きることもあります。高度情報社会の申し子ともいえる病気です。

ドライアイのそのほかの原因

シェーグレン症候群

中年の女性に多い病気で、眼や口、鼻などの粘膜が乾燥し、関節痛が起きることもあります。
涙はほとんど分泌されず、強いドライアイの症状が現れます。

マイボーム腺が詰まる

マイボーム腺は、油層の成分を分泌する所です。
マイボーム腺がなんらかの原因で詰まると、油層の形成が不完全になり、涙液の蒸発を防ぐことができません。

結膜炎など

近年患者数が増加しているアレルギー性結膜炎などでも、結膜のムチン分泌が減り、ドライアイを招きます。

治療の流れ

治療の流れ

問診(問診内容)

以下の問診表を用いて行います。症状の他に生活環境や体の状態を確認します。

問診(問診内容)

眼科一般検査

視力検査、眼圧検査などを行います。
ドライアイ以外の目の病気(白内障、緑内障、黄斑変性症、網膜剥離など)を見落とさないことは大事です。そのために必ず一度は受けて下さい。
(初診時に受けていただくことをお勧めします。)
また、メガネやコンタクトレンズの度数が目にあっているかどうかも確認いたします。

ドライアイ検査

細隙灯顕微鏡検査(フルオレセイン染色を用いた)

涙を含む目の表面、まぶたの裏や縁の状態を確認します。
ドライアイの所見として、「 涙のたまりが少ない。」
「涙のフィルムがすぐ壊れてしまう。」
「角膜・結膜の上皮障害(キズ)。」
「マイボーム腺の出口がつまる。」
などがあります。

角膜上皮障害(キズ)

【軽度】

【軽度】

【中等度】

【中等度】

【重度】

【重度】

シルマーテスト・フェノールレッド綿糸法

涙の分泌量を測る検査です。専用のろ紙や綿糸を用いて行います。

シルマーテスト

シルマーテスト

シルマーテスト

フェノールレッド綿糸法

フェノールレッド綿糸法

フェノールレッド綿糸法

通水検査

涙が目元の涙点から喉に流れ出ていく排水管(涙道)の通りを確認する検査です。 涙が目尻から流れてしまう(流涙症)方に行います。

診断・治療

以上の様な検査の結果をもとにドライアイの診断を行います。 ドライアイと診断された方には以下のような治療を行います。

点眼薬による治療

点眼薬による治療

  • 人工涙液
  • ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン・ティアバランス)
  • ジクアホソルナトリウム(ジクアス)
  • レバミピド(ムコスタ) など

ドライアイの種類や程度によって処方される点眼薬は変わります。 場合によっては防腐剤の入っていない点眼薬や眼軟膏を処方することもあります。

涙点プラグ

涙点プラグ上記の点眼薬の治療で十分な効果が得られない場合に行います。
涙が排出される涙点(涙点は左右の上下のまぶたにそれぞれ1つずつ[計4つ]あります)にシリコンでできたプラグで栓をします。
涙の分泌量を増やす治療がないため、涙点プラグは相対的に涙の量を増やす有効な治療です。
外来でできる比較的簡単な処置で痛みもほとんどなく5分程度で終了します。
どの涙点にプラグをするかは、ドライアイの程度・症状に応じて決めます。
また挿入したプラグは必要なくなれば(問題あれば)すぐに外すこともできます。

生活環境の指導

普段の生活に少し気をつければ眼の渇きを軽くすることができます。

パソコンなどの作業は休憩が必要。

リラックスを心がけ、眼が疲れたら休ませましょう。温かいタオルなどで目を温めるのもよい方法です

なるべく上を見ない。

テレビやパソコンの画面は、目より下方に置くようにしましょう。

お部屋の湿度を保つ。

加湿器や濡れタオルなど干すなどして保湿に注意しましょう。

マイボーム腺機能不全の治療

涙のほとんどは水分でできていますが、目の表面に均等にいきわたらせる働きをする、ムチンという粘性の物質と、すぐに蒸発してしまわないようにする脂分とをバランスよく含んでいます。この脂分をつくりだすのが、上下まぶたの裏側にあるマイボーム腺です。
このマイボーム腺の機能が何らかの理由で低下すると、脂分が変質して黄色く濁り粘性が高まってマイボーム腺の出口がつまってしまうことになります。この状態をマイボーム腺機能低下といいます。
治療方法としては、温罨法(おんあんぽう)とリッドハイジーンの2種類があります。

温罨法(おんあんぽう)

温罨法は体の組織を温めて医療効果を求める療法の総称です。マイボーム腺機能低下ではつまってしまった脂分をまぶた温めることによって溶かして通りをよくする方法です。マイボーム腺から出る脂質はおよそ28℃から32℃程度で溶けるといわれていますが、温罨法ではぬるめのお風呂の40℃程度に温める方法が一般的です。
市販の目元用温罨法用品で、自宅で簡単にできる療法で、ゆっくりとリラックスして横になり、目元を約5分温めます。これを毎日朝晩2回おこなうのが効果的で、しばらく続けることによってマイボーム腺機能低下が改善します。

リッドハイジーン

リッドハイジーン(Lid Hygiene)とは、まぶたのまわりを清潔にすることで、日本語では眼瞼清拭などといいます。
まぶたを専用のシャンプーなどを使用して清潔に洗浄することで、マイボーム腺を活性化し、詰まってしまった成分のまわりに付着している角質や細菌などを洗いながす効果があります。まず温罨法をおこない、脂質を溶かしておいてリッドハイジーンをおこなうことによって効果は相乗的なものとなります。

まとめ

ドライアイは、800万人以上のもの患者様が悩まされていると推定されるにもかかわらず、病気としての認識が低い疾患でもあります。

前述以外でのちょっとした不快感など、早期の診断がより快適な毎日に繋がります。
どうぞお気軽に、当院にご相談下さい。

TOPへ戻る
045-731-1113 WEB予約 045-731-1113 WEB予約